拝啓わたしの唯一神へ- 好きだった、なんて過去形にできない
ジョングク、25回目のお誕生日おめでとう。この世に生まれて、アイドルになってくれてありがとう。こんな日でもないと書き残せない、デカい感情を言葉にしたくて、今年もやっぱりお祝いに来た。だから今から、私のまとまらない気持ちをかき集めて、ありったけの届かないラブレターを書く。
ジョングクはある日突然わたしの前に降ってきた奇跡の星。この世の中で誰も超えることのできない、代替不可能な天才。稀有なまでに抜きん出たアイドル。そしてもはや推しとかの次元を超えた唯一神。
なんで好きかとか、どこが凄いかプレゼン資料にしたらファイル容量デカすぎて誰も読み込めないくらいになると思うし、書き綴ったら巻物くらいの長さになるし、語っていいなら夜が明けるまで語る。私のオタ垢って約15000ツイートあるんだけど、そのほぼ全てがジョングクについてしたものだと思うと冷静にヤバい。つまりはいちまんごせんかい、1人の男に好きって言ってるんだぜ。
こんな具合に、私は本当に頭のてっぺんから爪先まで、骨の髄までジョングクのことが好きだった。大好きで大好きで、毎日毎秒呆れるくらいジョングクしか頭になかった。地球はジョングクを中心にして回ってる。なんならこの世界を創造したのってジョングクかも。私はジョングクに出逢うためにこの世に生を受けたに違いない。
そんな風に思ってた私は、“永遠”とか“一生”って言葉を乱用してきた。
まぶしすぎるジョングクをみてたら、リアルタイムで“世界”取っていく防弾を追いかけてたら、この世にマジで永遠ってあるんじゃないか?と思うようになった。
このままずっと7人はステージに立ち続けるし、私はずっとアミで、死ぬまでオタクでいるに違いない。だってジョングクを、防弾を、好きじゃない未来なんて見えない。ありえない。想像ができない。
でもね、16歳だった私に21歳の私が教えてあげる
永遠は、ありません
はい。
万物流転、諸行無常。永遠など、変わらないものなど自明にこの世にないのである。
まずコロナとかいう、人類の誰も予想だにしていなかった特大アンハッピーサプライズが現れたせいで、わたしたちは会えなくなった。9月1日にジョングクは東京ドームで公演をするはずだったのに、それを目にすることはもうきっと容易には叶わない。そのうち彼らは欧米プロモーションに注力し始めて、dynamiteが爆発流行して、あっという間にbutterも売れてPTDが出て、「BTS=英語で歌うビッグスター」の図式が誕生した。え?ちょ待てよ。全然いいんだけど、いや、名曲なんだけど。私が知ってる防弾ってなんだっけ?たりょらっていつからやらなくなったんだろう。個人インスタ、聞いてないが?HYBEに変わって、どうなんの?なんか知らんけど、ホワイトハウスに行くらしい。ホワイトハウスってあのホワイトハウス?ジョングクって英語喋れたっけ。私ってジョングクペンだよね?こんなんでいいんだっけ?いつからこんな風に追いつけなくなったんだっけ?
永遠がないことを、あっさり数年で学んだ。防弾は変わるし、私も変わる。大学生になって色んな新しい出会いがあって、好きなものも増えたし、自分の時間とお金を何に使うか、その選択肢の幅も広がった。私はもはや、寝ても覚めてもジョングクのことしか頭になかった高校生の女の子ではなくなっていた。ジョングクのこと考えないで寝る日があるなんて聞いたら、5年前のわたしは失神するかもしれない。必然的にツイッターも呟かなくなった。ジョングクの何をどうして好きか、言葉に起こさなければ気が済まなかったのに、変わった自分を俯瞰して驚いた。同じくらいの頃、仲の良かったフォロワーが1人、また1人とアカウントを消した。
たまに過去パフォを見返して沸いて、ジョングクってやっぱり天才やんけと再確認しつつ、出てくる感想はいつも同じだった。
あーーわたし、本当にジョングクが好きだったな。
好き“だった”んだ。今も好きだけど、もう昔と今は違う。変わったものがありすぎる。嫌いになったわけじゃないし、ジョングクは何も悪くない。私が変わったから、ジョングクがいなくても生きていけるようになっただけ。
そんな風に思っているうちに時はさらに過ぎて2022年。その知らせはある日突然やってきた。
防弾少年団、個人活動始めるらしい。
わたしの率直な感想は“こういう日が本当に来るんだ”だった。永遠を一度は信じたから。防弾はずっと、7人で一つに決まってる。それでもいつかこういうフェーズは来る。もちろん解散じゃないのは知ってるし、前向きなメンバーもいるのだってわかってる。それでもこうして大きな節目を突きつけられてみると、動揺する私がいた。それで一気に色んなことを思い出した。過去のわたしがどんな風な気持ちでジョングクを推していたかが蘇って、ジョングクってわたしのすべてだったな、と思った。ジョングクに出会っていなかったら、得ていないものが多すぎる。
それをちゃんと伝えられていないのに、“好きだった”なんて過去形にしてたまるか。
わたしはジョングクに出会って、はじめて震えるほど好きという感覚を知った。KPOPなんて聴いたことがなかったわたしは、この世にこんなに素敵な音楽が溢れていたことを知らなかった。ジョングクのおかげで新しい感情を、言葉を、音楽を、ときめきを、自分を認める方法を知った。
わたしは今、とある媒体でライターの仕事をかじっている。言葉を武器にして生きていきたいと思ったのは、ジョングクが好きで好きで仕方なくて、大好きを超える言葉を探すうちに、文章を紡ぐ楽しさを覚えたから。KPOPは変わらず好きだけど、HIPHOPも聴くようになって、何度かイベントに行った。人生が豊かになった。それもジョングクが、そういう音楽ジャンルの入り口を教えてくれたから。大学で二年韓国語を勉強して、韓国の政治や法律についての授業も取った。ジョングクが生まれた国だと思ったら、言葉も歴史も知ってみたいと思った。
つらくて心が折れそうな夜にはジョングクのVラをみて、生きるモチベを繋いだし、そんなふうに誰かを糧になにかを頑張れることのうつくしさも知った。
ジョングクをきっかけに出会ったオタクの友達が全国津々浦々にいて、その人達にはときに、リアルの友達に言えないようなことだって話せた。
ただ好きだって言ってるだけなのに、そういう私のことを好きって言ってくれる人もたまにいて、顔も知らない同じジョングクペンの誰かに救われたことも沢山あった。
わたしは今、就職のことを考えなければならない時期に来ていて、そんなとき大学受験を死ぬほど頑張った記憶が糧になるのだけども、じゃあなぜ受験を頑張れたかというと、それもジョングクのおかげだった。
こんな風に今のわたしを構成する色んな要素は、紛れもないジョングクが与えてくれたものなのだ。バカか、私は。“好きだった”なんて、過去形にできるわけがない。ジョングクは切り離せないわたしの人生そのものだから。好きだったんじゃない。色んなものが変わった今だって、わたしはジョングクのことが大好きなのに、なにをボケていたんだろう。この先の人生で、ふとした瞬間に思い出すのはいつだってジョングクしかいない。それがすべての答えだ。
きっとこの世界に、ジョングクを好きになって、なにも変わらない人なんていないのだ。好きだという事実こそ変わらずとも、みんな自分の人生があって、ジョングクも毎日ちがう時間を生きる。だけどこうしてジョングクのおかげで、絶対に揺らがないものが自分の中にできて、支えになっていることを、そういう人がきっと私の他にも世界中にいることを、いつか面と向かって伝えられるだろうか。
永遠とか絶対とかそんなものはないけど、ジョングクの存在だけはきっと死ぬまで私の核。まぶしくてかっこよくて、美しくて力強い。優しくてちょっとだけ生意気で、たまにダサい。人間らしいところを沢山見せてくれるのがずるいし、そのくせにやっぱり稀有な天才。ああ本当に、アイドルになってくれてありがとう。
こんなありきたりなことしか言えないのがもどかしいけど、“好きだった”のではなく、今この瞬間に愛を込めて。わたしの神さま、今年も来年もこの先も、お誕生日おめでとう。